All ASCII Linux Issue / Linux Magazine 2000年2月号
これで解決! Linux 100の疑問―その1
基礎知識・ディストリビューション
2001年8月24日
はじめに
Linuxを使っていると、さまざまな疑問がわいてくる。あんなことはできないのだろうか? なんでこうなっているんだろう? こんなときは、いったいどうすればいいんだ?
ちょっとしたことなんだろうけど、気になって夜も眠れない。そんな、誰もが持つ疑問にお答えしよう。100を超えるQ&Aを読めば、あなたのスキルも大幅アップ。
(Linux magazine編集部)
基礎知識その1
Q:Linuxってなに?
A:一言でいえば、LinuxとはUNIX類似OS(Operating System)です。1991年、フィンランド大学の学生だったLinus Torvaldsさんは、既存のUNIXのコードは使わず、i386 CPUを搭載したIBM PC/AT互換機で動作するこのOSを作りました。その後、Linusさんを中心として世界中の開発者が移植・改良を重ね、現在も開発が続けられています。
現在配付されているLinuxには次のような特徴があります。
- i386以上のx86 CPUを搭載したPC、Macintosh、SPARC、MIPS、Alphaマシンなどで動作する。
- 真のマルチタスク、仮想メモリ、共有ライブラリ、SMP対応、TCP/IPによるネットワーク機能などを実現。
- GCC、Emacs、X Window System、数多くのUNIX用プログラムを利用可能。
- LinuxカーネルはGPL(GNU General Public License Version 2)に従って配布されており、誰でもソースコードを入手できる。
Q:Linuxってなんて読めばいいの
A:文書などで公式に発表されている答えはありません。日本では、「リナックス」、「リヌクス」、「ライナックス」などと発音する人が多いようです。
なお、開発者のLinusさん自身がスウェーデン語で発音したオーディオクリップが、http://www.linux.org/info/sounds/swedish.auに、英語のものがhttp://www.linux.org/info/sounds/english.au(画面1)にありますので、興味ある方はどうぞ。
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画面1 LinuxさんはLinuxをどう発音するか聞いてみよう |
Q:Linuxって著作権フリーなの? 複製して、人にあげてもいいの?
A:Linuxカーネルの著作権は、Linus Torvaldsさんが保持しています。また、カーネルの一部は、そのコードを書いた開発者が著作権を持ちます。したがって、PDS(Public Domain Software、著作権を放棄したソフトウェア)ではありません。
カーネルの配布はGPLに基づいて行われています。GPLとは、FSF(Free Software Foundation)によって策定されたライセンスです。GPLでは、複製・変更・配布をすることが許されています。ただし、再配布を制限してはいけませんし、ソースコードが入手できることを保証しなければなりません。
正確な内容を知るためには、原文(http://www.gnu.org/copyleft/gpl.html)や、カーネルのソースに含まれるCOPYINGというファイルを参照してください。公式な文書は英語で書かれた原文のみということになりますが、英語が苦手な方には、日本語訳(ftp://ftp.sra.co.jp/pub/gnu/local-fix/GPL2-j/gpl.text.gz)も参考になるでしょう。
カーネル以外のプログラムの配布条件は、それぞれのプログラムのライセンスに従います。ディストリビューションに含まれるプログラムの多くはGPLに従っており、これらは再配布しても問題ありませんが、商品版ディストリビューションに含まれる商用フォントや商用ソフトウェアは複製できませんので気をつけましょう。
Q:Windows/MacintoshからLinuxに乗り換えるべきですか。
A:この質問に対する答えはありません。なぜならば、LinuxとWindowsは設計思想がまったく違うOSであり、それぞれに良い点と悪い点があるからです。GUI操作のみで、ある程度は直感的に使えるWindowsやMacintoshとは違い、コマンドによる操作が多いLinuxは、決して取っつきやすいものとはいえないでしょう。しかし、ユーザーがスキルを身につけていくにつれ、その分、できることがどんどん広がるのがLinuxのおもしろいところです。
乗り換えるのではなく、まずは、両方を使ってみてはいかがでしょう。そうすれば、それぞれの得手不得手もわかります。そして、やりたいことにあったOSを使い分ければよいのです。ひとつのOSにこだわらず、適材適所で使い分けるのが賢い方法です。
1台のマシンに両方をインストールして、デュアルブートで使うのもよいのですが、OSを切り替えるのがちょっと面倒です。複数のマシンがあるなら、イーサネットなどでつないで、WindowsマシンやMacintoshからLinuxマシンを利用することもできます。ネットワークの設定をしなければなりませんが、充実したネットワーク機能はLinuxの魅力のひとつですので、インストールに慣れたらぜひ挑戦してみてください。
(Linux magazine編集部)
基礎知識その2
Q:なぜペンギンがマスコットなの?
A:1996年の初頭、linux-kernelメーリングリストで、Linuxにはどのようなロゴやマスコットが合うかが議論されていました。ほかのOSロゴのパロディがよいとか、サメやワシといった強くて気高いものがよいという意見が数多く出されましたが、Linusさんがペンギンが好きだと発言したことで、ペンギンに決まりました。
そして、ペンギンロゴコンテストが開かれ、Larry EwingさんがGimpで描いたTuxがロゴとして採用されたのです(画面2)。
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画面2 ちょっと太めのTux |
この数年前、Linusさんは、オーストラリアの動物園で小さなペンギンにかまれ、“ペンギン中毒”に感染してしまったのです。これに感染すると、ペンギンのことばかりを考え、ペンギンラブラブ状態に陥るのだそうです。Linuxにマスコットが必要だということになったとき、ペンギン中毒のLinusさんの頭のなかにまず浮かんだのがペンギンだったというわけです。Tuxをロゴキャラクターに決めたのは、面白みを持ったキャラクタだからとのことで、これはLinuxにとっても不可欠の要素なのだそうです。
Tuxに関しては、Steve BakerさんのWebページ(http://www.woodsoup.org/~sbaker/tux/doc/)に詳しく説明されています。
Q:スイッチ切りたいんだけど、どうすればいいの?
A:正しい方法で終了しないと、ディスクに未保存のデータが消えたり、二度と起動しなくなったりするかもしれません。電源を切る前に必ずシャットダウンが必要ですので、次のコマンドだけは覚えておきましょう。
なお、オプションのーhをーrにすると、システムを終了させるのではなく、再起動させます。
Q:コマンドの使い方がわかりません
A:Linux(UNIX)で使われるコマンドには、ヘンテコな名前のものが数多くあり、しかもそれぞれのコマンドにはたくさんのオプションがあります。まるでユーザーに使われることを拒絶しているかのようですが、実際にそのすべてを覚えている人はいません。では、みんなどうやって使っているのでしょう? 実は、よく使うコマンドはそんなに多くないのです。
lsやcpのようによく使うコマンドを解説した入門書が数多く出版されているので、自分にあったものを1冊持っていると便利です。Linuxを利用しているうちに、これらのコマンドの使い方はすぐに覚えてしまいます。では、あまり使わないコマンドやオプション、ましてや初めて使うコマンドはどうすればいいのでしょうか? 答えは簡単、調べながら使えばいいのです。Linux(UNIX)には、manというオンラインマニュアルシステムがあります。“man <コマンド名>”と入力すれば、コマンドの使い方とオプションの説明が表示されます。決してわかりやすくはないと思いますが、なにもないのとは全然違います。日本語版のディストリビューションには、たいてい日本語化されたmanが付属していますので、まずは、
として、manコマンドそのものを調べてみましょう。
Q:名前のわからないコマンドはどうする?
A:manコマンドにはキーワード検索機能があります。“ma
n -K <キーワード>”でキーワードを含むmanページを表示します。単純な検索なので、この結果のみですべてのコマンドが表示されるわけではありませんが、これはこれで結構便利です。
(Linux magazine編集部)
ディストリビューションその1
Q:ディストリビューションとはなんですか?
A:一言で答えるなら「配布パッケージ」ということになるでしょう。ご存じの方も多いと思いますが、厳密な意味でのLinuxは「カーネル」と呼ばれるコア部分(システムの基本サービスを提供する)だけのことを指します。しかし、それだけではユーザーが利用することはできないため、「ディストリビューター」と呼ばれる個人、法人や団体などがそれぞれのポリシーに合わせて、ライブラリ、基本コマンド、アプリケーションなど、さまざまなソフトウェアと組み合わせて「ディストリビューション」という形にして配布、もしくは販売しています。具体的なものとして、Slackware、TurboLinux、Vine Linux、Red Hat Linux、Debian GNU/Linuxなどがあります。それぞれのディストリビューションについての情報は、http://www.linux.or.jp/distributions/index.html(日本語)やhttp://www.linux.org/dist/index.html(英語)などに詳しく掲載されています。  |
画面3 日本におけるLinuxerの総本山「linux.or.jp」 |
Q:どのディストリビューションが一番いいですか?
A:ディストリビューションは、それぞれ特徴を持って作られており、どれも一長一短あります。したがって、Linuxを利用する目的がなにかによってお勧めできるディストリビューションも変わってきます。たとえば、業務用のサーバとしての利用を考えているなら、サポート体制のしっかりしたRed Hat LinuxやTurboLinuxなどが候補になりますし、Linuxというシステムの勉強が目的なら、システムの見通しがよいSlackwareやPlamo Linuxが候補になるでしょう。また、たくさんアプリケーションをインストールして使ってみたいならパッケージ管理機能のしっかりしたDebian GNU/Linux、しっかりした日本語対応を求めるならVine LinuxやLASER5 Linux、さらにWindowsも手放せないならMLD4という具合に、それぞれのディストリビューションが持つ特徴をまず知ることが必要でしょう。
Q:雑誌の付録としても配布されていますが、製品との違いはなんでしょうか?
A:どのようなものを無料で配布するかという方針は、ディストリビューションによって異なりますが、大まかにいって製品版から商用アプリケーションやサポートなどを除いたものが雑誌の付録となっている場合が多いです。ただし、フリーでFTPサイトからダウンロードできるものであっても、機能が限定されているというわけではなく、Linuxシステムが持っている特徴などは製品版と変わりはありません。
Q:パッケージとはなんですか?
A:ある1つのアプリケーションに関連するプログラムや設定ファイル、ドキュメントなどをひとまとめにしたものです。ディストリビューションのことをパッケージと呼ぶこともあるためまぎらわしいのですが、ディストリビューションは、パッケージの集合体ともいえるので、そのように呼ばれるのでしょう。
(Linux magazine編集部)
ディストリビューションその2
Q:RPMとはなんですか?
A:RPM(Red Hat Package Manager)、Red Hat Softwareによって開発されたパッケージ管理方式のことです。RPMは、Red HatLinuxを始めとして、TurboLinux、Vine Linux、LASER5 Linux、OpenLinux、SuSE Linuxといった数多くのディストリビューションによって採用されており、次に述べるような機能を持っています。
- パッケージ間の依存関係のチェック機能
- 強力なクエリー機能
- パッケージの検査機能
これらの機能は、rpmコマンドによって利用することができ、パッケージのインストール、アップグレード、削除を容易にしてくれます。rpmコマンドを利用する際、最低限必要なオプションは次のとおりです。
- # rpm -i(パッケージのインストール)
- # rpm -U(パッケージのアップグレード)
- # rpm -e(パッケージのアンインストール)
- # rpm --help(rpmコマンドの簡単なヘルプ)
これら以外にも便利なオプションはたくさんありますので、一度マニュアルやヘルプを見てみることをお勧めします。
また、RPMはパッケージのファイル名を見ただけでも、さまざまな情報
がわかるようになっています(図1)。
さらに、最近ではコマンドラインからrpmコマンドを利用しなくても、Red Hat Linuxのパッケージ管理コマンド「glint」やGNOME標準のパッケージ管理コマンド「GnoRPM」といったGUIツールが登場していますので、コマンドラインが苦手な初心者ユーザーは、このようなツールを利用するのもよいでしょう。
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図1 rpmファイル名の意味 |
Q:パッケージ管理方式はRPMだけでしょうか?
A:Debian GNU/Linuxによって開発されたパッケージ管理方式として、deb方式があります。強力なパッケージ管理能力が特徴です。これまでは、Debian GNU/Linuxだけがこのdeb方式を利用してきましたが、Storm LinuxやCorel LINUXなどdeb方式を採用するディストリビューションが登場してきています。
deb方式のパッケージは、dpkgコマンドによって利用することができますが、dpkgのインターフェイスとしてdselectやaptなどを使うと便利です。
また、厳密にはパッケージ管理方式とは呼べませんが(依存関係のチェックなどを行わないため)、SlackwareやPlamo Linuxでは、バイナリにインストールシェルスクリプト加えてtar.gz形式(このファイル形式は、「tarボール」と呼ばれることもあります)でまとめたファイルを利用しています。これらのファイルは、pkgtoolコマンドなどを利用してインストール/アンインストールを行います。
Q:RPMとdebでは互換性はあるのですか?
A:それぞれは別の管理方式ですので互換性はありません。ただし、Debian GNU/LinuxにはRPM形式を始めとするさまざまなパッケージ方式に変換するalienコマンドがあります。また、KDEのパッケージ管理コマンド「kpackage」はRPMとdebの両方をサポートしています(画面4)。  |
画面4 KDEのパッケージ管理ツール「kpackage」 |
Q:rpmファイルなら、rpm系のどのディストリビューションでもインストールできますか?
A:これは、半分YESで、半分Noです。というのは、バイナリレベルでは互換性を持っていても、各ディストリビューションによってディレクトリ構成が異なっていたり、ライブラリのバージョンが異なっていることがあるからです。したがって、Red Hat Linux用に作られたrpmファイルをTurboLinuxにインストールした場合、うまく動作しないこともあります。また、その逆もあります。問題ない場合も多いのですが、トラブルを避けるためにも、極力対象ディストリビューション向けに作られたrpmファイルを利用することをお勧めします。
(Linux magazine編集部)
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